Ryuichi WATANABE
人の手触りをデザインするようなプロダクトの世界から地形といったダイナミックな自然の造形まで、様々なスケールで人間の環境を考える必要があります。モノを築くには自然の摂理に従った工学と人間のための空間を思考する柔らかな感性が重要です。社会には、建築と土木のように様々な分断が存在します。エンジニアリングに軸足を置きながら、プロダクト、建築、土木、都市へと人間のための環境をデザインすることを、みなさんと探求したいと思います。
歴史的価値のある橋や構造物は、どれも当時の最先端の技術を結集してできています。私たちの時代に何が可能であるか。住む人々に向き合い、地域や風景に思考を巡らすことで、自らの答えを探す作業が設計であると考えています。社会・時代の中での適正な「かたち」を探求し、それを地域の中で共有することによって、構造物は文化になるのではないか。従来の設計プロセスのように、意匠(美)と構造(技術)が役割分担されるのではなく、多様な観点が統合されたひとつの解として結実させる設計プロセスの探求を行います。本研究室では、都市からまちづくり、建築、土木、ファニチャーなど横断的な設計実務での経験を活かした教育を行い、実践的なテーマの研究を進めていきます。
技術や工学の世界にも、感性が求められる時代に入っていくと思います。そんな時代の流れの中で、デザインという行為の持つ意味を一緒に考え、文化となる構造物を造ることの意味を共に考えましょう。