研究室の学び

ヒトから大腸菌まで、すべての生物は生命の本質を担う全遺伝情報ゲノムをもっています。莫大な種類の生物ゲノムが解読された現代、「ゲノム科学」はさまざまな分野で重要な学問となっています。当研究室では、単細胞生物である細菌の環境応答能力や増殖能力を、ゲノム機能ネットワークとして理解する研究を行っています。また、これらの研究を通して、新しい技術の開発や産業へ応用する課題にも取り組んでいます。

社会との接点

目に見えない微生物は19世紀初めて確認されました。1953年のDNA構造の発見は遺伝子を分子レベルで理解でき、その後多種微生物遺伝子の解析から、1977年に新しい生物分類三大ドメイン説が提唱されました。これは地球上でもっとも多様な生物が微生物であることを示します。さらに、最近の微生物ゲノム解析から、地球上に存在する99%以上の細菌が未同定であることも分かりました。このような微生物には、私たちにとって有用な機能をもつものがいます。例えば、アミノ酸を大量に生産する細菌、抗生物質を合成する細菌、極端なアルカリ条件下で生存する微生物などです。これらを利用した新しい技術の開発によって、人類は大きな利便性をえてきました。「ゲノム科学」の発達は、微生物の多様な機能をゲノム上の複数遺伝子のはたらきとして理解できるだけでなく、ゲノム編集などで人工的にデザインしたゲノムをもつ微生物を創出できるようになりつつあります。当研究室では、新しいゲノム編集技術 HoSeI(Homologous Sequence Integration)法を開発し、ゲノム上の複数遺伝子を一塩基レベルで改変することを可能としました。このような知見や技術から、ゲノム機能を支える複数遺伝子を改変し、新しい機能をもつ大腸菌の創出とその産業利用を目指す研究にも取り組んでいます。

主な研究テーマ

  • 細菌の増殖開始に関する研究
  • 細菌の環境応答システムによる適応増殖の研究
  • CRISPR-Cas9 システムを用いた大腸菌ゲノムの遺伝子多重
  • 変異導入法の開発
  • ゲノムデザイン大腸菌による金属資源化技術の開発
© Hosei University
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